胃カメラ検査を受けましょう
医師 戸田 美佐
我が国では、 昔から胃潰瘍や胃がんは高頻度に見られる病気で、
近年では胃透視(バリウムを飲んで行う検査)や胃カメラによる診断技術の進歩と
有効な薬剤などの治療法の研究と開発が進んでいるものの、
胃疾患にかかる人は非常に多く、早期発見・治療が大切になります。
胃・十二指腸は、ストレスや消炎鎮痛剤の影響で胃潰瘍ができることは
以前から知られていましたが、その他にヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)が
潰瘍形成に関与していると指摘されています。
もちろん、ピロリ菌が感染していても潰瘍にならない人はいますし、
内服治療による除菌後も潰瘍の再発例はありますので、この菌だけが原因とはいえません。
しかし、この菌は胃がん発生にも関わっている可能性があり、
潰瘍が治りにくく、再発を繰り返す人ではピロリ菌陽性率が高いといいます。
感染しているかどうかは、胃カメラ検査の時に胃粘膜のごく一部を採ってきて調べる
「胃生検」という方法を行うことで、早くて数分、遅くとも二時間程度で結果が解ります。
胃生検時の痛みはありませんし、採取部からの出血もごく少量ですぐに止まり、
粘膜も修復されますから、特に問題はありません。
感染が解れば、病状に応じて除菌した方がよい場合があります。
一方、胃がんについては、年間約十万人がかかっていると言われ、
四年前までは「がん死亡数」の第一位でしたが、早期胃がんの発見率が高まり、
また治療法の進歩により生存率が向上し、死亡数は肺がんに次ぐ第二位となりました。
数年前までは、市町村や会社の集団健康診断では、胃透視が主体でしたが、
診断を確定するには胃粘膜を直接見る必要があり、胃透視で疑わしい場合には
結局胃カメラ検査が必要となるため、最近では検診の段階から胃カメラをすることも
多くなっています。
胃カメラでは、病変の形状や広がりを知るだけではなく、同時に「胃生検」を受けることで、
その病変が良性のものか悪性のものかを判別することもできます。
胃潰瘍だと思って検査をすると早期胃がんだった例も珍しくありません。
潰瘍にしろ、がんにしろ、胃部症状のある方は放置せず、
早めに適切な検査や治療を受けるようにして下さい。
可能な限り早期に発見できれば、
早期に治療を開始することによって完全に治ることも期待できます。
症状がなくても、胃・十二指腸の炎症や潰瘍、ポリープを指摘されたことのある方、
胃の手術をされた方は、定期的に胃カメラ検査をされることをお勧めします。
さらに胃カメラ検査では食道も見ますので、
胃・食道逆流症による逆流性食道炎の状態や食道裂孔ヘルニアの有無、
食道粘膜生検により食道がんの診断もできます。
その他、慢性肝炎の合併症である食道静脈瘤の早期発見と経過観察により、
静脈瘤が破裂しないように適切な治療時期を知ることができます。
以上のように、胃カメラ検査では、
食道・胃・十二指腸の病変の肉眼的あるいは組織的診断が可能となります。
現代の医学は治療だけでなく、予防のための医学が勧められています。
身体の表面からは診断できない消化器の病変は、知らないうちに出来ていて、
思いがけずに進んでいることもあります。
先にお話したように、早期診断が可能であれば、
より悪化することを予防できるわけですから、気になることがあれば、早めにご相談ください。