医療法人 社団昭峰会 戸田内科・リハビリテーション科

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意識障害とは
 院長 戸田 和夫
 
 
 意識障害についてお話しする前に、まず「意識」について解説しましょう。

 「意識がある」と言う状態は、まず覚醒している、
 
つまり目が覚めている状態であり、自分自身と自分の周りの環境や状況について
 
しっかりと把握できている状態を指します。

 従って意識が障害されると、呼びかけたり、つねったりして痛みを加えたりしないと
 
目が覚めなくなったり、そういった刺激を加えても目が覚めなくなったりします。
 

 よく雪山を題材にしたドラマなどで「寝たら死ぬぞ~!」と言った場面がありますが、
 
あれは「寝る」と言うより、意識が障害されないように叩いたりしているのです。

 極めて寒い場所で意識が障害されると、
 
幻覚などによりとんでもない行動(脱衣など)をしたりしますし、
 
意識が消失すると、生命維持に必要な自律神経機能が悪化するなどの理由からです。

 
 
 さて、この意識障害には、大きく分けて二種類があります。

 先ほどの例のように、痛みなどの刺激に反応できなくなるような状態は、
 
「意識混濁」と言います。

 すなわち、現在置かれている環境に対する認識が低下している状態を指します。

 軽い意識混濁においては、現在自分が置かれている場所が解らなかったり、
 
日付が解らなくなったりする程度の場合もあります。

 しかし、少し重症になってくると、痛み刺激などを与えないと目が覚めなかったりします。

 そして重症になると、どんな刺激を与えても目が覚めなくなります。

 一方、雪山で遭難した例の中で「幻覚」と言う言葉を使いましたが、
 
このように普通では見えないものが見えたり、とんでもない行動を起こしてしまう状態を
 
「意識変容」と言います。

 すなわち、現在置かれている環境を正しく認識したり、
 
それに対して正しく反応できなくなってしまった状態を指すのです。
 
 

 ここで気をつけて欲しいのは、「失神」との違いです。

 失神とは、一時的に脳への血流が障害されたり、
 
糖分などの血液の成分が極端に減ってしまうことによって、意識を失うことを指します。

 従って、これらの状態を改善させることによって、意識は正常に回復できます。

 意識障害を来たす病気は様々あります。

 脳卒中や頭部の外傷、脳腫瘍、てんかん発作など、
 
脳の障害によって覚醒状態を妨げるものです。
 そのため、意識障害に対する治療は、その原因となる病気によって異なるため、
 
意識障害が起こったら直ちに救急隊などへの連絡が必要となります。

 もちろん、本人は連絡出来ないので、その発見者の方に限られますが・・・。
 
 

意識障害が最も重度になると、「昏睡」と言って完全な意識喪失状態となり、
 
唾を飲み込むような反射などを除いて、
 
様々な刺激に対する体のほとんどの反応が起こらなくなります。

 このような状態になりますと、今度は「脳死」との鑑別が重要となります。

 近年、「脳死」は臓器移植との問題があり、みなさんも耳にしたことがあると思います。
 
 現在、「脳死」と言うと「脳幹死」を意味します。

 「脳幹死」とは、文字通り「脳幹」が死ぬことを意味します。

 では、脳幹とはどんな働きをしているのでしょうか。

 「脳幹」は主に生命を維持するために働いている器官です。

 すなわち、心臓の働きを調節したり、呼吸により血液中の酸素を適度に保つように
 
調節したりするのです。

 つまり、「脳死」は不可逆的に意識が重度に障害された状態を指しますので、
 
「昏睡」から覚醒できれば「脳死」ではなかったことになります。

 こう書いてしまうと、重度に意識が障害されている状態で、
 
「昏睡」と「脳死」とが鑑別できないように思えますが、
 
実際には「脳死」を判定するには様々な検査所見があり、
 
専門医が総合的に判断する必要があります。