パーキンソン病とともに
(2006年1月9日付「神戸新聞」22面に掲載)
院長 戸田和夫
---以下転載----
パーキンソン病は、脳の中脳にある「黒質(こくしつ)」という部分で作られる神経伝達物質の一つ、
ドーパミンが著しく減少することで起きる。
ドーパミンは通常、もう一つの神経伝達物質アセチルコリンとでバランスを保っているが、
ドーパミンが減ることでアセチルコリンが優位になり、結果としてパーキンソン病の症状が現れる。
四十歳までに発症する「若年性パーキンソン病」もメカニズムは同じだ。
パーキンソン病に詳しい明石市の戸田整形外科・神経内科院長、戸田和夫医師は
「筋肉をうまく動かすためのドーパミンを分泌する脳の黒質の老化が非常に進んだ状態。
しかし、なぜ老化が進むのか原因は不明」と説明する。
ドーパミンそのものは、加齢に伴い、少しずつ減少しているとされ、年齢と関係が深いとされる。
このため、今後、高齢化が進むと、国内のパーキンソン病患者はさらに増加すると予想されている。
これらは運動症状だが、立ちくらみや便秘、排尿障害、睡眠障害などの自律神経症状が出ることも。
睡眠障害は睡眠中に何度も目が覚める「夜間頻回覚醒(やかんひんかいかくせい)」や
なかなか寝付けない「入眠障害」など。神経症状の抑うつが現れるケースもある。
しかし、「初期段階では病気の自覚症状がないことが少なくない。
肩凝りに悩んでいた人が実はパーキンソン病だったというケースもある」と戸田医師。
治療の中心は薬剤の服用とリハビリ。
薬剤で基本となるのがドーパミンを補充するドーパ剤だ。
「不足したドーパミンを補わないと運動機能を維持するのは困難。
このため、効き目のいいドーパ剤を使うが、長く使い続けると効果が弱くなるという欠点がある。
ほかに、便秘や吐き気、めまいや体がくねる不随意運動などの副作用も」と戸田医師。
このため、ドーパ剤の服用を抑え気味にし、ドーパミン受容体の刺激剤や、
ドーパミン分解阻害剤やドーパミン放出促進剤など、他の薬剤を組み合わせる方法が取られる。
パーキンソン病自体は、死に至る病気ではないが、寝たきりになると、
感染症などで結果的に命を落とすこともある。
戸田医師は「さまざまな治療法が確立されてきて、症状をコントロールできるようになった。
そのためにも早期発見と治療が大事。
ひょっとしたらと思ったら神経内科を受診してほしい」と力を込める。
一方パーキンソン病との付き合い方としては、それまでの生活を変える必要はない。
病気をよく知る。家族の支援、協力が重要など四つのポイントを挙げている。